きみの眼差しがぼくに接ぎ木した
きみの眼差しがぼくに接ぎ木した実存を称えて歌う
思索の階段をどこまで昇ればいい? 人間存在を俯瞰する
実存哲学の記念碑は 空のきみに届けとぼくは願った
(自己の消滅 残り香 神の名前)
春だった 童話の大地に育つ若葉をぼくは愛そうとした
そのとき 永遠がシャボンの泡のように弾けて闇が降りてきた
ぼくは若葉―幻影をかみ砕いた そうだ 生きねばならぬ
詩作メモ
戦後まもない時期(1947-1948)に書かれた安部公房の長編小説『終りし道の標べに』真善美社版の詩的な変奏。「きみ」は、戦後の混乱のなか、満州を放浪して病死した安部公房の友人。11月7日に投稿した「昨夜 夢に見た光景だけが」(詩)からの展開。
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