鞠二月二日堂

詩と芸術のブログ

箱男

詩作メモ

 箱男と贋魚の(ずいぶんと)ロマンチックな物語(安部公房箱男』の変奏)。

 贋魚は『箱男』「それから何度かぼくは居眠りをした」に登場する。浜辺に群生する貝殻草の匂い(花粉に含まれるアルカロイドの成分)が「贋魚の夢」を誘発するという。いったん夢の世界に引きこまれると、そこから目覚めることは容易くない。天にむっかって墜落(逆墜落)して、空気に溺れて死んでしまっても贋魚の夢は終わらない。

 贋魚は、夢から覚める前に死んでしまっていたので、もうそれ以上覚めるわけにはいかなかった。死んだ後までも、まだ夢を見つづけなければならなかった。

 永遠を泳ぐ贋魚の夢の只中で それとは知らずに眠る箱男が夢を見る……

 この詩はマリア・ジョアン・ピリス Maria João Pires のピアノでシューマン『森の情景』を聴きながら仕上げた。

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