永遠のこと 四月 パウル・ツェラン
きみたち 永遠のことを知っていますか?
永遠がどれほどの大きさだったか 知っていますか?
いまそれは 掌ほどに小さく折りたたまれてしまいました
桜貝の色をした爪の残酷がそうさせたのですか?
二十世紀は〈死と運命〉の私有物でしたか?
セーヌの黒い水面は還ってゆくことの誘惑ですか?
それでもわたしたちは新しい生命を見つけようとします
未来の生命の爪が もう一度 永遠をひらきます
詩作メモ
旧ブログ(2014年8月以前)の詩。
1970年4月19日深夜、あるいは20日未明、パウル・ツェランはミラボー橋からセーヌ川に身を投じたという。この詩はパウル・ツェランが生前に準備していた詩集『雪の声部』(雪の区域)の最後に収められた詩、
Die Eiwigkeit hält sich in Grenzen:
永遠は境界の内側にある――(永遠は限界のうちにとどまる――)
から着想を得た(ツェランの命日を前にして即興的につくった詩)。
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